2021/09/01
主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(33)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品関連向け専門コンサルティング組織である
株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
当社は、JFS規格の監査会社もしています。
本日は「8.5.4 ハザード管理プラン(HACCP/OPRPプラン)」について解説します。
この要求事項は、HACCP7原則の原則3~原則12(原則11を除く)に該当します。要求事項は、以下の通り細分化されます。
8.5.4.1 一般
8.5.4.2 許容限界及び処置基準の決定
8.5.4.3 CCPsにおける及びOPRPsに対するモニタリングシステム
8.5.4.4 許容限界又は処置基準が守られなかった場合の処置
8.5.4.5 ハザード管理プランの実施
要求事項は以下の通りです。
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8.5.4.1 一般
組織は、ハザード管理プランを確立、実施及び維持しなければならない。
ハザード管理プランは、文書化した情報として維持され、かつ、各CCP又はOPRPの管理手段ごとに、次の情報を含まなければならない:
a) CCPにおいて又はOPRPによって管理される食品安全ハザード;
b) CCPにおける許容限界又はOPRPに対する処置基準;
c) モニタリング手順;
d) 許容限界又は処置基準を満たさない場合にとるべき修正;
e) 責任及び権限;
f) モニタリングの記録。
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「一般」の要求事項は、この前後の要求事項のまとめです。
a)~d)は、次の要求事項に書かれています。
a) 食品安全ハザードは、「8.5.2.4」で決定しています。
b) CCP許容限界、OPRP処置基準は「8.5.4.2」に書かれています。
c) モニタリング手順は「8.5.4.3」に書かれています。
d) 許容限界や処置基準の逸脱時の修正は「8.5.4.4」に書かれています。
e) 責任及び権限は「8.5.4.3」と関連し、CCP/OPRP工程のモニタリング
担当者、及び検証者を明確化します。
f) モニタリングの記録は「8.5.4.3」と関連し「8.5.4.5」に従い記録します。
まず、許容限界(critical limit)、処置基準(action criterion)の定義を理解することが重要です。
処置基準の定義は、「OPRPのモニタリングに対する測定可能な又は観察可能な基準」許容限界の定義は、「許容可能と許容不可能とを分ける測定可能な値」
処置基準も許容限界も、モニタリングの対象となる基準(値)です。
許容限界が、測定できる基準値でなければならないのに対して、処置基準は、測定値でも良いし、観察可能=官能的な基準、つまり目視、食味、臭い、触感などの基準を用いても良い点に違いがあります。
なお、許容限界と処置基準の決定根拠は、文書化が必要です。
次に、モニタリングシステムですが、これはCCP/OPRPごとに確立します。
適切な時間内に測定又は観察ができ、頻度、方法、モニタリング/評価の責任権限、モニタリング機器、その機器の校正方法/検証方法、
モニタリング結果の記録方法を決定します。
モニタリング担当者(記録担当)と、結果の評価者(検証者)を別にすることが重要です。
モニタリングの結果、許容限界又は処置基準が守られなかった場合に適切に修正及び是正処置を実施し、「8.9.2 修正」「8.9.3 是正処置」に従い、不適合管理をします。
組織は、モニタリングにかかる人件費、設備投資、不適合管理にかかる廃棄コスト、生産性の低下など、食品安全と経営を両立させながら、適切な管理システムを追求し続けることが必要と考えます。
次回は「8.8 PRPs及びハザード管理プランに関する検証」を解説します。